Mark Kimura「スペースコロニー」を夢見た学者が、Pocochaで“人の心を救うAI”に挑む理由
Mark Kimura「スペースコロニー」を夢見た学者が、Pocochaで“人の心を救うAI”に挑む理由

Mark Kimura「スペースコロニー」を夢見た学者が、Pocochaで“人の心を救うAI”に挑む理由

「失敗した時期のほうが、評価を高くすべきだと思うんです」。

そう話すのは、DeNAのPocochaチームでAIデータサイエンティストのマネージャーを務める Mark Kimura(マーク・キムラ)です。

アメリカでのスタートアップ経験、ハワイ大学での社会貢献、そしてハワイアン航空での保守的な文化との葛藤。多様なキャリアを経て、今彼はPocochaというコミュニティに自身の時間を注いでいます。この記事では、彼がPocochaで取り組むAIのチャレンジ、その背景にある価値観、そして共に働く仲間に求める「好奇心」について紹介します。

スペースコロニーから「人の心を救う場所」へ

Markさんのキャリアの原点は、意外にも「宇宙」にあります。スペースコロニーを作るという夢を追うべくアメリカの大学で地理経済を学び、博士課程では複雑系科学の社会科学への応用をテーマに研究していました。しかし、9.11テロ後の雇用凍結や、オクラホマでの孤独な生活を経験する中で、関心は徐々に「人間」そのものへと向かっていきます。

転機となったのは、ハワイでの生活です。ハワイ島で火山が噴火した際、Markさんは当時の専門知識(GIS:地理情報システム)を活かしてインフォグラフィックを作成しました。その情報は数千人にシェアされ、地元のメディアやニューヨーク・タイムズにも取り上げられます。この経験が、「自分のスキルが誰かの役に立つ」という実感を強くもたらしました。

「人生の残りのテーマは、誰かの心を救うような『意味のある仕事』をすること。寂しさを抱える人の支えになりたい」

そう語る彼が選んだのが、ライブコミュニケーションアプリ「Pococha」でした。

日本の昭和の居酒屋やイギリスのパブのように、小さなコミュニティで何でも話せる「サードプレイス」をつくるというプロダクトの思想に、自らの使命を見出したと言います。

感情という「掴みどころのないデータ」をAIで解き明かす

現在、Markさんが取り組んでいるのは、AI(LLM:大規模言語モデル)を活用した高度なユーザー体験の分析です。

「Pocochaは非常に複雑でリッチなUI/UXを持っています。それをAIで解釈し、行動データだけでなく、コメントから読み取れる『感情』や『体験の歴史』をモデル化しようとしています」

Pocochaには、配信やコメントなど、定量的な行動ログだけでなく、大量の「言葉」が蓄積されています。行動データとテキストデータの両方を扱いながら、ユーザーがどのような気持ちでサービスを使っているのかを理解し、そこから得られた示唆をプロダクトの改善につなげていくことが、チームの大きなテーマです。

Markさんは、データサイエンティストの役割を「分析結果をグラフにして終わること」だとは考えていません。プロダクトチームのクリエイティビティを引き出すために、自らプロトタイプやモックアップまで作り、「イメージできる形」で価値を提供することを重視しています。

「技術的に難しいことを難しいまま渡すのではなく、ビジネス価値に変換してシンプルに伝える。その『Simplify(簡略化)』のプロセスが、今のチームにとって一番重要なチャレンジだと思っています」

「失敗を恐れることは、イノベーションの邪魔でしかない」

Markさんのマネジメントスタイルは、日本企業に対して一般的にイメージされるスタイルとは少し異なります。彼は、アメリカのスタートアップで経験した「上司の許可を待たず、自由に試して成果を出す文化」を、自分のチームでも再現しようとしています。

Markさんは、「失敗した時期のほうを高く評価すべきだ」という考え方を持っています。それは、誰も成し遂げていない「無理そうなこと」に挑戦した証拠だからです。結果だけを見て安全な選択を続けるのではなく、難しい課題に向き合い続ける姿勢を評価したいと語ります。

このような心理的安全性が、チームのクリエイティビティを引き出す土台になっています。トライ&エラーを歓迎する文化があるからこそ、メンバーは新しいアプローチを提案し、実験し、学びを次につなげていくことができます。

求めるのは、スキルよりも「人間への好奇心」

理想のチームメンバー像について聞くと、Markさんは今のチームで活躍してうるメンバーの例を挙げました。コンピュータサイエンスのバックグラウンドを持ってないメンバーだけど、強い好奇心でデータサイエンスやコーディングをゼロから学び、1週間でSQLを習得して実務に貢献するまでになったと言います。

「大事なのはハードスキルそのものではありません。新しい技術に対する興味はもちろんですが、何より『人間の行動や心』に対する尽きない好奇心だと思います」

データサイエンスの世界では、今日学んだツールが数年で陳腐化することも珍しくありません。そのため、必要に応じて自ら学び続ける姿勢や、仮説検証を繰り返すことを楽しめるマインドセットが重要になります。

「結果がうまくいかなかった実験を、いつまでも引きずらないことも大事です。ポジティブな結果を信じて、失敗を糧に次の実験に向かえる情熱を持った人と、一緒に働きたいですね」

メッセージ:変化の激しいAI時代を生き抜くために

AI技術の進化は非常に速く、1年後の世界でさえ正確に予測することは難しい状況です。その中でMarkさんは、次のように語ります。

「変化に適応して生き残れるのは、自分のやりたいことを貫き、すぐに手を動かして何かを作ってしまう人だと思います」

Pocochaというプロダクトを通じて、人間の感情という未知の領域に挑み、失敗を恐れずに実験を繰り返せる環境がここにはあります。

「挑戦することを恐れない人にとって、これ以上に魅力的な環境はないと確信しています」

AIの力で「心の孤独」に向き合いながら、ユーザー体験をより良くしていくチャレンジに興味がある方にとって、PocochaのAIデータサイエンティストチームは、きっと有力な選択肢になるはずです。

編集後記

Markさんとの対話を通じて見えてきたチームのイメージは、「整備された公園の砂場」に近いものだと感じました。

多くの企業が「砂のお城(成果物)」の完成度や、崩さないための設計図の精密さを重視する一方で、Markさんのチームでは「どれだけ大胆に砂を掘り返したか」「新しい形を作ろうとして何度崩したか」といったプロセスそのものが評価されます。

失敗しても責められることはなく、「次はどう積めばいいか分かったね」と前向きに話せる安心感がある。その安心感があるからこそ、データサイエンスという未知の遊び場で、誰も見たことのない形(イノベーション)が生まれていくのかもしれません。

募集要項・エントリーはこちら

PocochaのAIデータサイエンティストとしての募集要項やエントリー方法の詳細は、以下の求人ページをご覧ください。

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